親しい友人からお米を送って貰ったので、ペットボトルに入れ替える。
いつのころからか、我が家に”米びつ”というものが無くなって、米は2リットルのペットボトルに分けて保管するようになったのだが、母にならって厚めのボトルを取っておき、そこに入れるようにしている。
ペットボトルの側面を叩きながら、年期の入った漏斗で流していくと意外に入るもので、ジャージャー、トントン、とこれでもかというくらい詰めていくサマは、ちょっと蟻地獄に砂を落としている錯覚になるのだが、いい気になっているとやはり幾粒も床にこぼしている。
今、お米は特に貴重だから丹念に拾って入れたが、それでもズボンのひだなどに留まっていた3粒は文鳥どもへの特配にした。
文鳥は東南アジアあたりでは”ライスバード”とも呼ばれる害鳥らしい。
野原を群れて飛ぶ動画を見たことがあるが,黒頭で白の頬にくっきりとした赤いクチバシで濃い灰色胴体の文鳥たちがかしがましく飛び交う様子は、茶色の雀の群れを見慣れている目には少し異様であった。
灰色も茶色もともに地味色だが、外敵にも目立つような真っ赤なクチバシはどういう了見だろう。それにしても、その南の国の”害鳥”をわざわざカゴに入れて餌をやっているのはくすぐったいように可笑しい。
さて我が家の”ライスバード”も、その名に恥じない米好きであるが、人間の餌に飼い慣らされているためか、クチバシがそれほど強くない。
白文鳥メスが、まるまるの米一粒を口の中で転がして転がして──見ているほうが疲れる──ようようパチンと割って半分を飲み込んだようだ。すると自分の割り当て分を始末した桜文鳥のオスが止まり木から下に降りて、落ちた(であろう)残りの半分を探し始めた。
こういうことは、日頃の亭主関白風(?)にもかかわらず、オスがマメである。
メスはカゴ底を這っている相方に大した関心も払わず、じっとこちらを伺っている。飼い主が前にいる以上、次の米が期待できるのだ。こちらとしても残りを片付けたいから、手っ取り早く白にやると、、、今度は噛まずにひと呑みに飲み込んでしまった。
見つからないのか、次を期待しているのか、桜オスはまだ地べたを歩き回っている。