文と鳥と

文鳥を飼い続けて半世紀。あんなコトこんなコトありました。

⌲巣取り合戦

寒い期間限定で入れておいた壷巣、もういい加減に外そうと思うのだが、文鳥どもが入れ替わりに籠もっているのでついそのままにしている。

 

冬のあいだ白文鳥のメスがなにを間違ったかセッセと卵を産み、2週間きっかりで次々と巣から蹴り出すという芸当をして飼い主を慌てさせたが、春になった途端、ピタリと産まなくなった。それでもカゴの中で一番の居場所は巣の中らしく、丸い巣の入口からいつも2羽のどちらかが上半身を出しているのでまるでヤドカリを飼っているようだ。

 

相手が餌を食べに出たところをすかさず入り込むから、概ね白文鳥桜文鳥半々の占有率はずだが、なぜか桜オスが居ることのほうが多い。餌か水か、あるいはフンか、次に空くのはそのタイミングだから、あぶれた方は巣の下の止まり木でじっと待つ。

 

ただ白文鳥のほうはなかなかの知恵者で、たまに奥の手を使う。
突然ギャンギャンと騒ぎ立てて飼い主を呼びつけるのだ。

飼い主は何事かとカゴを開ける。メスはカゴの入口まで降りてきて飼い主の手に載るそぶりをする。すると桜オスは慌てたように巣から止まり木に出てくる。すると白は一転し、止まり木のオスとすれ違って巣に飛び込んでいく。あとは阿呆面の桜文鳥と白メスにフェイントをかけられた飼い主。メスは巣で白い首をうねりながらクークーと雄叫びをあげている。

 

もっともこの作戦も繰り返しているうちに飼い主は寄りつかなくなるし、オスも死守する構えで巣にどっかりと座り込む。それでも白文鳥のメスは諦めない。

ギャン鳴きに悲鳴のような声を交えて呼ぶので、結局は飼い主ももしや別件かとカゴの戸を開けるし、戸が開くとオスは反射的に立ち上がってしまう。

 

どうやら3人(?)のなかで一番かしこいのは白文のメスらしい。

 

勝ち誇る白文鳥